
日本、AI で「第三極」目指す国家戦略を採択 — 2040 年に AI ロボット世界シェア 3 割超
3 月 10 日、日本政府が招集する「日本成長戦略会議」は、人工知能と AI ロボティクスを含む 17 の戦略分野について「勝ち筋」を整理し、2040 年に AI ロボット世界市場シェア 3 割超を目指す方針を採択した。Reuters と The Japan Times、首相官邸の公表資料による。同パッケージでは、国内製造半導体の年間売上目標を現状比およそ 5 倍となる 40 兆円に引き上げ、米中に並ぶ AI 「第三極」として日本を位置づける方向性が明確化された。
同会議は 2025 年末、日本政府の主導により「新しい資本主義実現会議」を改組して再出発したものであり、首相直轄の産業政策最高会議に位置づけられる。今回は新体制下での 3 回目の開催で、エッジ AI 推論アクセラレータからヒューマノイドロボットのアクチュエータまで、政府が補助金・調達・税制で優先支援する 61 の具体的な製品・技術が議論された。読売新聞によれば、AI ロボティクス分科会は経済産業省と内閣府が共管し、2025 年 12 月以降、日本に残る製造業上の強みのうち AI 時代の主導権につながり得る領域を整理する作業を続けてきたという。
首相官邸が公表した議事概要によれば、総理大臣は関係閣僚に対し「官民投資ロードマップの策定を急ぐこと」、および優先製品ごとに「誘発される国内投資の規模と時期を明確にすること」を指示した。また、新たな技術シーズを防衛調達につなげるよう、経済産業大臣と防衛大臣に連携を求める発言も記録されている。「第三極」という表現自体は議事概要に直接の閣僚発言として記載されていないが、会議の公式資料および読売新聞・The Japan Times の関連報道で繰り返し用いられている。
数字面のスケールは大きい。Reuters によれば、国産半導体の年間売上を現在のおよそ 8 兆円から 2040 年に 40 兆円へ引き上げる目標が掲げられ、読売新聞は AI ロボティクスについて世界シェア 3 割超を目指すとしている。会議の需要想定に従えば、日本企業勢が 2040 年価格で年間 20 兆円規模の AI ロボット市場を取りに行く計算となる。既に存在する NEDO の 5 年・1 兆円(約 63 億ドル)規模の AI 基金 — 2026 年度から募集開始 — がこの戦略を実装する最初の主要な制度ツールとなる位置づけである。比較対照として、米国の CHIPS 法と EU 半導体法はいずれも 2030 年までに自陣営の世界半導体シェア 2 割を目標とするにとどまる。

業界の反応は慎重だった。日経アジアの外交担当アナリストは、資本集約的で人材流動性に欠ける日本の産業構造が、会議が誘導する資本量に関係なく「第三極」構想の最大の実装リスクとして残ると論じた。Reuters の株式デスクは、上場半導体銘柄が「40 兆円」目標を受けて緩やかに反発したと報じている。読売新聞および朝日新聞の報道は、本フレームワークと、ソフトバンク・NEC・ソニーグループ・ホンダによる「フィジカル AI」合弁設立計画 — NEDO 制度下での申請を視野に入れた構想 — を結び付けており、当該合弁は会議が示す「第三極」構想の事実上の旗艦として広く読まれている。
遠方世界としては、今回の発表で重要なのは見出しのシェア数値よりも、日本が「シリコンの上、アプリケーションの下」 — つまり基盤モデルと物理制御の層 — で競争する選択を明示した点である。デスクトップ向け・コンシューマ製品向けにキャラクターエンジン、音声、ペルソナを開発する東京拠点のスタジオとして、当社は会議が資本を集中させる層の一つ上に位置する。信頼できる「第三極」が国内ホスト演算基盤と国産訓練の基盤モデルを伴って実現すれば、当社のローカルファースト・デスクトップ実装でキャラクターエージェントを動かすコストは中長期的に低下し、B2B エンジンライセンス顧客にとっても、購買・法務部門の前で擁護しやすい国内代替を提示できるようになる。
今後 12 か月、当社は次の三点を注視する。(1) NEDO の 1 兆円 AI 基金が、過去の産業基金で常態化した「既存大手集中」を脱して中堅・中小プレーヤーにも実際に配分されるか。(2) ソフトバンク・NEC・ソニー・ホンダの物理 AI 合弁が、自社モデルに対してどのライセンス条件 — オープンウェイト、商用ライセンス、もしくはクローズド API — を付すか。これは、当社のような中規模キャラクタースタジオがスタックを書き換えずに上に乗れるかを左右する。(3) AI ロボット世界シェア 3 割という目標が前提とする国内演算需要を、現状の電力供給制約下で会議がどう辻褄を合わせるか。


