
EU AI 法、汎用 AI モデル向け義務が適用開始
8 月 2 日、欧州連合 AI 法における汎用人工知能(GPAI)モデル提供者向けの中核義務が適用開始となり、EU の AI 事務局(AI Office)が施行調整役を担うこととなった。欧州委員会の発表および Reuters、POLITICO の報道による。新たな義務は透明性、著作権遵守、技術文書化要件を対象とし、訓練演算量が "システミックリスク" を構成するとされる 10^25 FLOPs を超えるモデルには追加の安全性義務が課される。
AI 法は 2024 年に正式採択され、GPAI 提供者への義務を段階的に積み上げる構造を取る。8 月 2 日以降に EU 市場に投入されるモデルは即時遵守、それ以前に投入済みのモデルは 2027 年 8 月 2 日までの猶予期間が認められる。欧州委員会のガイダンスおよび DLA Piper の 2025 年 8 月クライアント向けアラートによる。委員会の完全な制裁権限 — GPAI 提供者への罰金賦課を含む — の適用開始は 2026 年 8 月 2 日となる。
期日に先立ち、委員会は遵守を補助する任意の実務行動規範(Code of Practice)を公表した。Amazon、Anthropic、Google、IBM、Microsoft、OpenAI、Mistral AI、Aleph Alpha が署名し、xAI は三章のうち一章のみ署名、Meta は署名を拒否した。Meta のグローバル渉外責任者ジョエル・カプラン氏は 7 月 18 日付の LinkedIn 投稿で、"Europe is heading down the wrong path on AI" と表明し、本規範は "introduces a number of legal uncertainties for model developers, as well as measures which go far beyond the scope of the AI Act" と述べた。Wall Street Journal および POLITICO の報道による。
8 月 2 日適用開始の制裁体系では、禁止 AI 行為に対し最大 3,500 万ユーロまたは全世界年間売上高の 7%、その他の義務違反に対し最大 1,500 万ユーロまたは 3%、誤った情報提供に対し最大 750 万ユーロまたは 1% の行政罰金が定められている。DLA Piper の要約による。ただし GPAI 提供者固有の制裁は 2026 年 8 月 2 日まで執行されない。委員会はシステミックリスクの計算閾値を 10^25 FLOPs に設定した。
業界反応は慎重な肯定から反発まで幅があった。Meta が加盟する CCIA は適用延期を働きかけたが、委員会報道官のトマ・レニエ氏は 7 月 4 日、Reuters に対し "Let me be as clear as possible, there is no stop the clock. There is no grace period. There is no pause." と明言した。Arnold & Porter および DLA Piper の弁護士は、本制度の発効を 2025 年における最も重要な AI 規制上の節目と位置付けている。
遠方世界としては、GPAI 義務は自社の日常業務というより、依存するサプライチェーン側で重要となる。我々のキャラクターおよびペルソナ生成パイプラインの一部は第三者の GPAI 提供者の上で動いており、彼らに課される透明性、著作権、文書化義務は、我々が要求・監査・自社顧客やプレイヤーに引き渡せるデータおよびモデル来歴情報の範囲を規定する。ベンダー契約は相応に見直す方針である。
今後 12 か月、注視するのは次の三点である。(1) 制裁権限が 2026 年 8 月 2 日に発効する前段階で、AI Office が調整役として実際にどの程度機能するか。(2) 規範署名企業と Meta の間に、レニエ氏が示唆した規制監督の実効的差が生じるか。(3) EU 域外 — 特に日本、英国、米国 — が、システミックリスク分類における演算量閾値方式に追随するか乖離するか。


