
日本政府、AI と半導体を "国家戦略技術" に指定
日本政府は、AI と半導体を新たに整備される "国家戦略技術" 枠組みの重点分野として位置付けた。Nikkei、Japan Times、Bloomberg、Reuters の報道による。11 月 21 日に閣議決定された総合経済対策の方針を制度化する形で、経済安全保障上の最重要分野に複数年・予見可能な予算を投じる仕組みが組まれており、AI と半導体はその看板分野として明示された。
本決定は、2025 年を通じた一連の政策プロセスの帰結である。日本初の AI 法制である "人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律" は 5 月に成立し、9 月に全面施行された。同法は首相を本部長とする AI 戦略本部を設置し、政府に AI 基本計画の策定を義務付けている。10 月に発足した日本政府は、AI と半導体を "責任ある積極財政" の最先端分野として位置付ける姿勢を一貫させてきた。
首相官邸が公表した 11 月 21 日の総理大臣記者会見において、首相は次のように述べた。"we will begin examining a new framework for investment in sectors of critical importance to economic security to mitigate risks, following our previous multi-year funding frameworks for GX and for AI and semiconductors. For the seventeen designated strategic areas, we will allocate initial budgetary resources."(経済安全保障上の重要分野について、GX や AI・半導体で先行した複数年枠組みを踏まえ、新たな投資枠組みの検討に着手する。17 の戦略分野には初年度予算を配分する、との趣旨。)首相は同会見で "Without growth, fiscal sustainability cannot be maintained."(成長なくして財政の持続性は確保できない)とも述べている。
財政規模は大きい。首相官邸の説明によれば、対策パッケージの一般会計を含む国費は約 21.3 兆円、財政投融資を含めた事業規模は約 25.5 兆円にのぼる。Bloomberg と Taipei Times はその後、補正予算の中で AI と半導体に充てられる額が約 2,525 億円(およそ 16 億ドル)に達すると報じた。また、対策には 2025 年度防衛費を 1.1 兆円積み増し、国家安全保障戦略が掲げる GDP 比 2 パーセントの水準を実現する措置も含まれている。

業界の反応は基本的に肯定的だが、留保もついた。国内の半導体製造装置業界や AI スタートアップ団体は、単年度補正に頼らない複数年の予見性を歓迎した。一方、Reuters や Japan Times が引用したエコノミストの一部は、見出しの数字のうち実際に AI 計算資源、学習データ、モデル研究開発に投じられる比率は限定的で、その多くが Rapidus と TSMC 熊本工場のような既存案件に流れる可能性を指摘している。国際通商の観点からは、本指定が将来的に米国型の輸出管理規定と組み合わさるとの見立ても出ている。
遠方世界としては、本指定は構造的に歓迎するが、当社のロードマップを書き換えるものではない。枠組みの中心は、日本が明確な優位を持つハイエンド半導体、モデル学習インフラ、そして少数のファウンデーションモデル研究機関にある。我々はその一つ上のレイヤー — キャラクター、音声、ペルソナ、ローカルファースト のデスクトップ製品 — に立っている。本指定が我々に効くとすれば二次的効果である。日本の AI インフラに長期資本が予見可能に流れ込むことで、我々を含むスタジオが借りる日本語ベースモデルのコストと品質が改善する経路だ。
今後 12 か月、我々は次の三点を注視する。(1) 国家戦略技術の AI 予算枠のうち、中小企業やスタートアップが実際に使える区分の割合 — Rapidus、TSMC 熊本、少数の基盤モデルコンソーシアムにほぼ全量が吸い込まれないかどうか。(2) 本指定が、特に先端露光装置や対中輸出向け HBM をめぐる輸出管理規定と接続するか。(3) 内閣府が年内に更新するとされる AI 基本計画が、"国家戦略技術" のラベルを、当社規模の企業も使える具体的な税制優遇要件まで落とし込めるか否か。


